今年のバレンタイン。 俺にとって毎年東京へ行くんが恒例となってもうたこの日は生憎平日やったもんやから、流石の俺も今回は東京に行かれへんかった。 それに金もピンチやったから諦めてはおったんやけど、やっぱり何か贈りたくて…せやけど、チョコなんかよう買われへん……。 考えた末、ちょおアホっぽいかな?と思いつつも、俺の声吹き込んだMDと俺の人形を作って(勿論手作りや)送ったんやけど。 工藤のことや。 アレ見た瞬間、嫌そうな顔すんのやろなぁ…とか思った。 そんときの顔なんかが簡単に想像出来てしもて、当日はすぐにでも掛かって来るであろう電話を待っとったりしてたんやけど…もうとっくに荷物は着いとるはずやのに、一向にアイツから連絡が無くてその日は終わってもうた。 俺は焦った。冷や汗が背中を流れる。 もしかしたら、軽い気持ちで送ったモンがアイツの気に触ってしもたんかもしれん…。 あれこれとらしくなく考えとる内に、バレンタインから何日、何週間と時は無情にも過ぎて行く。 ついに一ヶ月が経ってホワイトデーが目前に迫ったとき、居ても立ってもおられへんようなった俺は、とうとう東京に出向こうと決心した。 今やったら、会うて謝ったらまだ許してもらえるかもしれへん。 このまんま連絡もせんと終わってまうのだけは嫌やった。 ほんで、軽く荷物をまとめて出掛けようとしたとき、玄関先で手渡された一通の書留郵便。 差出人を確かめて、思わず心臓がドクンと脈打った。 慌てて封を開ける。 小刻みに指が震えるのを止められず、思うように開封出来なくて焦ってまた空回りする指先に舌打ちした。 まどろっこしい手付きで何とか開けた封筒の中から現れたのは、一枚のメモと……新幹線の回数券……? わけがわからなくてメモに目を移すと、そこには素っ気無い文字が並んどった。 『バレンタインのお返し。あんなモン作ってる暇があったら来やがれ、バカ。 新一』 三倍返しとは言うけど、三倍以上の思わぬプレゼントに俺は暫し呆気に取られ、次いで込み上げてきた笑いをどうにも止めることが出来んかった。 まさか、こないなお返しがもらえるやなんて思ってもみぃひんかったわ。 それどころか、アイツに嫌われたんやないかとさえ思い、不安で堪らんかったんやで。これが笑わずにおられるかっちゅーねん。 一頻り笑った後、俺はその封筒を愛しげに撫でてバッグの中に仕舞い込んだ。 ほな、アイツのお返しを有りがたく使わせてもらうことにしよかな。 望み通り、これから行ったるから待っててや、工藤♥♥ |
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